第119章 彼女に一度のチャンスを与える

ほどなくして、海外へ電話がつながった。

有岡洋子はちょうど会議を終えたところだった。会議室を出た、その足で国内からの着信を受ける。

前回の「早く戻れ」という催促が脳裏をよぎり、有岡里穂はこめかみを押さえた。いま海外の流れは追い風で、有岡グループがようやく食い込めた局面だ。ここで引き揚げれば、ここ数か月の努力が水の泡になる。

「とりあえず出よう。お義父さんが何度も急かすほどの用件って、なんなんだろ」洋子が思わず口にする。

三人の息子はすでに成人し、それぞれの業界で一目置かれる人材だ。唯一気にかけるべき娘も名門校の生徒で、大学入学共通テストが近いとはいえ、成績面で心配する余地はほとんどな...

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